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KA




ホテル  MGM Grand / 702 - 531 - 2000
スケジュール  7:00pm と 9:30pm
休み  日曜日 と 月曜日
料金  $69, $99, $125, $150 (プラス 10% の Live Entertainment 税)
ドリンク なし 年齢制限 5才以上
英語力 不要 座席指定 指定席

 カナダの人気サーカス団シルク・ドゥ・ソレイユによるアクロバットショー。ラスベガスでの同劇団による定期公演ショーとしてはミスティア、オウ、ズーマニティに次ぐ第4作目。
(その後、LOVE、クリスエンジェル、ビバ・エルビス、も登場し、現在7つのシルクのショーが定期公演されている)

 オウが水をテーマとしていることや、KA という語感、さらには宣伝広告のデザイン (右写真、クリックで拡大表示) などから、「水の次は火か」 と、火をテーマにしたショーと思いこんでいる者も少なくないようだが、エンディングのシーンで見られる花火を除くと、実際には火はそれほど多く使われていない。
 また、KA の意味も、古代エジプトで信じられてきた 「人間の心に宿るさまざまな魂の総称」 とのことで、「火」 とは特に関係ない。
 であるならば、エジプトがテーマのショーなのかというと、見ている限りそうでもなく、むしろ衣装などは 「アジアを意識した」 (コスチュームデザイナー) というだけのことはあって、エジプトよりも中国をイメージしたような場面が随所で見られる。

 宣伝などでは、「双子の少年と少女の冒険旅行」 というストーリーが強調されているが、実際にはミュージカルのような明確なストーリーの存在を意識しながら観るショーではない。
 シルク側もストーリーの存在を強調する一方で、「アクロバット、マーシャルアーツ、マルチメディア、花火などで "Nature of Duality" を表現した」 と説明しており、ストーリー性のある物語よりも、基本的にはサーカスやアクロバット的なショーと位置付けているようだ。
 事実その Nature of Duality という難解な言葉が象徴するように、実際にショーを観た限りでは、そのストーリーも主張も極めて抽象的で、見る者ひとり一人が自由に解釈すればよいといった感じの内容に仕上がっている。
 もちろん役者がしゃべるシーンはまったくなく (これは、世界中の者が言語の違いを超えて楽しめることを信条とする同劇団のポリシー)、そういった部分においても一般のミュージカルとは明らかに別モノと考えるべきだろう。

 そのようなわけで基本的にはサーカスやアクロバットとして楽しめばよいわけだが、このショーはとにかく舞台設備がすごい。
 ステージの一部が上下する劇場は昔からどこにでもあるが、ステージ全体が上下するどころか、それが斜めになったり宙に浮き上がったり、さらには回転したり垂直に立ってしまったりするというのは、世界中どこを探してもここだけだろう。
 制作費がオウのそれを遙かに上回る 1億 5000万ドル以上というのもうなずける。
 「垂直になるステージ」 と表現しても、それがどのようになされるのか、また、役者はどうやってその垂直の舞台面に張り付いていられるのか説明がむずかしいが、それは観てからのお楽しみということにしたい。

 とにかくこのショーは、技術的な部分において、ソフトではなくハードの主張が強く感じられる特異なショーだ。
 つまりその技術は、舞台設備に秘められたメカトロニクスの結晶となって現れており、最近流行のコンピューター技術を駆使した音、光、映像などに頼りがちなハイテク演出とはひと味も二味も違っている。
 もちろんこのショーでもソフト的な技術はたくさん使われているが、機械工学のエンジニアがコンピュータープログラマーから主導権を奪い取ったような演出が随所に見られ、ショー本来の原点に帰ったようで観ていて気持がいい。
 観ているほうは気持ちがよくても、「垂直ステージ」 などで演じなければならない役者のリスクを考えると、のんきな気持ちではいられない。ステージ下の奈落が想像を絶するほど深く、そんな環境で激しく動き回る役者は常に死の危険と隣り合わせだ。事故が起こらないことを祈りたい。

 メカ重視というわけではないだろうが、オリジナルの音楽はミスティアやオウのそれに比べ、あまり印象に残らない単調なメロディーだ。また、役者ひとり一人のパフォーマンスやその難易度もミスティアやオウの方がまさっているように思える。
 もっとも、変則なステージという危険な環境を考えると、動きに制約があるのは当然のことで、ミスティアやオウと同類のアクロバットを期待すること自体に無理があるかもしれない。
 結局は好みの問題ということになってしまうが、大ざっぱに表現するならば、「前衛的なサーカスショーのミスティア」、「華麗なる水上ショーのオウ」、「無法的エロスを追求するズーマニティー」、「メカトロニクスとアクロバットの融合の KA」 といったところか。
 したがって、華麗さを求めるならばオウ、サーカスの技を観たければミスティアということになり、このKAはどのような人に支持されるのか今ひとつわからない部分もある。事実、コンセプトや主張がハッキリしにくいためか、チケットの売り上げの部分でもやや苦戦しているようで、そんなこともあってか、2007年末には演目内容を少し変更している。

 ところでこのショーには日本のバトントワリングの第一人者・高橋典子さんも出演している。世界バトントワリング選手権ゴールドメダリストという輝かしい実績を持つ彼女は、いわゆる "その他大勢" ではなく、準主役的な立場で登場する。同じ日本人としてうれしい限りだ。が、残念なことに、2011年4月、彼女は公演中にアキレス腱を負傷してしまい、数ヶ月の療養を余儀なくされている。一日も早い回復を期待したい。

 最後にこれは余談だが、幕が開く直前にアナウンスされる 「撮影禁止、携帯電話禁止、喫煙禁止」 の告知方法が、この劇団らしく非常におもしろい。ピエロのような役者が、カメラや携帯電話を持っている観客からそれらを取り上げて、ステージの奥で燃えている火の中に投げ込んでしまったり、タバコを吸っている客をステージの上に引っ張り上げ、そのまま奈落の底に突き落としてしまう。もちろんそれらはすべてサクラを利用しての演技だが、なんともこの劇団らしい愉快な演出だ。

 会場は MGMグランド内の KAシアター (かつて EFXが公演されていた会場)。広いホテルだが、場所はカジノ内の案内表示にしたがって進めばすぐにわかる。
 そのシアターの脇には公式ギフトショップが併設されており、ショーで使われる衣装やマスクなど、さまざまな商品を買うことができる。
 オウのシアターと違い2階席はなく、すべての座席フロアが同じ平面内に位置しているため、座席の違いによる視野の違いはそれほど大きくはない。したがって予算が苦しい者は無理して高い席にする必要もないだろう。もちろんステージに近い席の方が迫力があることは言うまでもないので、とことんこのショーの良さを楽しみたい者は、やはり高い席にしておいた方がよいかもしれない。

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