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ベネシアン




英語名   VENETIAN
住所   3355 LAS VEGAS BOULEVARD LAS VEGAS, NV 89109
電話  702-733-5000 総客室数  4060
フリーダイヤル  1-888-283-6423 スイートルーム  4060
FAX  客室直通 レギュラールーム  (全室スイート)
外貨交換  あり スイートルーム  $200〜
総合評価  

 全室スイートルーム形式になっていることで話題を集めているイタリアのベニスをテーマにした大型ホテル。客室の広さのみならず、グレード的にもウィン、ベラージオと並び最高級グレードに位置づけられており、総じて評判がよい。
 テーマに対するこだわりが随所に見られるのもこのホテルの特徴だ。ベニスの鐘楼、リアルト橋、サンマルコ広場などは本物と見間違えるほどの出来で、またロビーの天上には本場に習ってヨーロッパの伝統芸術フレスコ手法による宗教画などが描かれている。
 またこのホテルは大型コンベンション施設・Sands Expo Convention Center に隣接している他、水路やゴンドラなどベニスの街並みを模倣したショッピングセンター Grand Canal Shoppes を持つ (所有権は同ホテルのものではない) ことでも知られる。

 このベネシアンは、1952年に開業し 96年までこの地に君臨してきた古豪ホテル・サンズが 97年に爆破解体され 99年春に新生サンズホテルとして生まれ変わったもので、経営的にはサンズの血をそのまま受け継いでいる。そのような背景もあり、現在このホテルを所有・運営している会社の名前は Las Vegas Sands 社となっている。
 99年の開業時は工事などの遅れもあり、レストランなど入居予定のテナントや客室の一部が未完成という極めて中途半端な状態での "ソフトオープン"(一部施設だけの暫定開業) となってしまったためか、何かと評判が悪く経営的にも不安視されてきたが、その後 Grand Canal Shoppes などを始めとする各種施設が次々と完成し、2001年以降、経営状態は好転している。
 2003年 6月には、好調な業績を追い風にコンベンション施設の増床および別館棟 "Venezia Tower" (1013室) を完成させ、また、2007年12月には、隣接する場所に新たに 3000室規模の大型ホテル "Palazzo" をオープンさせた。なお、この Palazzo はとりあえず別名称のホテルになっているが、カジノ運営のための当局への登録は、ひとつのホテル、つまりベネシアンホテルの新館として登録されているため、これを理由に Palazzo の開業後は 「7000室を超える世界最大のホテル」 (ベネシアン本館 3047室、Venezia Tower 1013室、Palazzo 3068室) をウリにしている。

 立地条件がラスベガスの中心街からやや北に位置していることを除けば、このホテルに大きな欠点は見当たらない。北に位置しているといってもベラージオやパリスがある中心街へは徒歩の圏内にあり、特に気になるほどのものでもないだろう。むしろ同ホテルよりもさらに北に位置している大型ショッピングセンター・ファッションショーモールへのアクセスを考えると、ショッピング族にとっては最高のロケーションといってよい。人気のフォーラムショップスへも徒歩で行くことができるばかりか、このホテル自身もグランドキャナルショップスを持っており、ストリップ地区の3大ショッピングゾーンすべてがこのホテルから徒歩圏内ということになる。
 そもそも今後計画されている新規ホテルの大型プロジェクトはほとんどが北ストリップ地区で予定されており、将来的にはこのベネシアンの位置は北すぎるどころかラスベガスのほぼ中心地となる可能性が高い。

 客室は前述の通り全室スイートとなっており、他のホテルのスタンダードルームと比較する限り、客室においてこのホテルが勝ることはあっても劣ることはないだろう。ただ、スイートルームといってもリビングルームとベッドルームが完全にセパレートになっているいわゆる正式なスイート形式ではなく、フロアに段差を設けてリビングルームとベッドルームを視覚的に分けた、いわゆるミニスイート(もしくはジュニアスイート) と呼ばれる部屋であることは頭に入れておく必要がある。また、本格的スイートに付き物の簡易キッチンやバーカウンターなどもない。
 その他客室関連で特徴的なのは冷蔵庫とファックス機だ。他の都市のホテルでは当たり前となっている冷蔵庫が、ラスベガスのホテルには存在しないのが一般的だが (その理由は [基本情報] セクション内の [ホテルの裏情報] を参照のこと)、このベネシアンにはそれがある。ただ、そのありがたい冷蔵庫も使い勝手が悪く評判は決して良くない。冷蔵庫のサイズがあまり大きくないことと、その中にあらかじめ飲み物が入っているため、宿泊客が食べ物や飲み物を収納するスペースがほとんどないばかりか、あらかじめ入っている物を勝手に動かすと自動的に課金されてしまうシステムになっているからだ。
 ファックス機も存在そのものはありがたいが、ファックス番号の割り当てシステムが複雑になっているためか(前日までの宿泊者宛に送信されてしまわないよう宿泊客ごとに番号を変えている)、自分のファックス番号がわかりづらく、受信の際の使い勝手の悪さが指摘されている。
 テレビと電話機はベッドルーム側とリビングルーム側にそれぞれある。また、高速インターネット用のケーブルも用意されているのでネット接続には何ら不便を感じない。クローゼット内にはアイロンと金庫、それにバスローブがある。

 バスルーム内はバスタブとシャワー室が別々になっており (最近の新設ホテルではこれが主流になりつつある) 使いやすい。トイレにも電話が付いているなど(合計3台ということになる) 細かい配慮がうかがえる。洗面台のシンクはツイン形式で、二人が同時に使えるようになっているところもありがたい。ドライヤーも設置されている。
 消耗備品は容器に記載されているままに表現すると、Lotion、Conditioner、Shampoo、Shower Cap、Aloe Soap、Vanity Kit、Sewing Kit となっており、特筆するようなものは見当たらない。

 チェックインの際、「ストリップ大通りに面した部屋」、「噴水が見える部屋」 などと、窓からの景色にこだわる者が少なくないが、このホテルに限って部屋の位置にこだわる必要は無いだろう。なぜなら、客室棟の設計上の関係でストリップ大通りに対して真正面を向いている部屋がまったくないばかりか、ストリップ大通りに対して斜めに面している部屋でも自身のホテル棟や高層駐車場さらには隣のハラスホテルなどがかなり視界を遮っており、大した景色は期待できないからだ。
 ただし、Venezia Tower には、本館と異なりストリップ大通りを向いている部屋もある。また、この棟は空から見ると建物全体が "コの字型" になっているため、中庭 (小さなプールもある) が存在しており、その中庭に面している部屋はストリップ大通りには面していないものの、景色的にはそれなりの風情を楽しむことができる。そう書くと別館の方が景色が良いようにも思えてしまうが、高さが本館よりも低く、また、寂れた景色しか見えない部屋も多いため、必ずしも別館の方がよいとは限らない。とにかくあまり景色にこだわらない方がよいだろう。

 プール施設 (別館 Venezia Tower の中庭にあるミニプールではなく本館側にあるメインプール) はプール自体よりも客室からのアクセスを高く評価したい。ラスベガスの多くのホテルではプールが地上に存在しているため、客室から一度 1階のカジノフロアまで降り、そこからカジノ内を通過してプール施設へ行かなければならないような設計になっているが、このホテルでは客室からエレベーターで 4階へ下りれば目の前がプール施設になっているため、水着に Tシャツを着たようなラフな格好でも他人の目を気にすることなくプール施設へ直行できる。ちなみにこの配置を採用しているのは、主要ホテルではパリスとプラネットハリウッドとこのベネシアンだけだ (ハラスやインペリアルパレスもこの形式だが、プールそのものがあまりにもお粗末なので話題の対象外)。

 プール施設と直結している SPA はそれなりに充実している。ここの SPA は、SPA経営では定評の Canyon Ranch Spa Club がテナントとして運営しており、ホテル直営が一般的な他のホテルとは運営形態が異なる。ヘルシーメニューが自慢のカフェや、ロッククライミング施設があるのが特徴で、客室からのアクセスもよい。ただ、全体の規模の割りにはスチームサウナ、ジャクージ、シャワールーム、ロッカーなどのエリアが意外と貧弱で使い勝手も悪い。

 カジノはまずまずといったところだろう。主要ゲームのルールはおおむね 「ストリップ標準」 だが、ブラックジャックは残念ながら Soft-17 Hit だ (最近はそれがストリップ標準となりつつある)。クラップスのオッズは最近主流の 3-4-5倍。
 ここのカジノの特徴は、ハイリミットセクションの充実ぶりで、一般のカジノから見えるハイリミットセクション以外に、個室カジノもあり、その充実ぶりはランスガスナンバーワンといってよいだろう。

 無料アトラクション的なものは特にないが、ろう人形博物館 Madame Tussaud's Celebrity Encounter (有料) がおもしろい。場所はストリップから同ホテルへ通じる "動く歩道" 沿いで、モンロー、シュワルツネガー、シナトラ、マイケルジャクソン、モハメドアリ、マイケルジョーダンなど、映画スター、歌手、スポーツ選手などの "そっくりさん人形" 約 100体が一堂に集まっている。まさかこれが人形かと目を疑いたくなるような精巧な作りにはただただ驚くばかりだ。訪問して後悔するような場所ではないので、時間が許す限り足を運んでみるとよいだろう。
 カジノフロアの 2階にあるショッピングセンター Grand Canal Shoppes 内で行われているゴンドラ乗船もユニークなアトラクションではあるが、これも無料ではない。(ろう人形博物館やゴンドラライドに関する詳しい内容や料金は、ラスベガス大全の [観光スポット]セクションを参照のこと)
 定期公演ナイトショーは現在ブルーマン (2005年 10月 1日に、従来の会場だったラクソーホテルから移籍してきた)、そして 2006年 6月から始った人気ミュージカル 「オペラ座の怪人」 が行なわれている。
 なお、エンターテーメント都市ラスベガスには不似合いな高尚な施設として注目されていたグッゲンハイム美術館のラスベガス分館がこのホテルのロビー脇に隣接されていたが、やはりラスベガスでは不人気だったようで 2008年5月11日に閉鎖されてしまった。

 レストラン群はかなり充実している。人気シェフ Wolfgang Puck 氏の店 POSTRIO、 サンマルコ広場にテーブルを並べたお洒落なイタリアン料理店 CANALETTO、水路やゴンドラを見下ろしながら食べる高級イタリアン ZEFFIRINO、ニューヨークで 170年の歴史を誇るステーキハウス DELMONICO、高級イタリアン VALENTINO、カリフォルニアンシーフード AQUAKNOX、カリフォルニアンフレンチ PINOT BRASSERIE、ラーメン、ヤキソバ、ビーフン、チャーハンなどを気軽に食べることができる NOODLE ASIA、そしてバフェィを持たないこのホテルにとっての最大のダイニングルームとして多くの宿泊者が利用する GRAND LUX CAFE などがある。
 さらに新館中庭に面した場所にカリスマシェフ Thomas Keller 氏監修のフレンチレストラン BOUCHON、そしてニューヨークで有名な和食フュージョンの TAO (ナイトクラブ併設) など、ラスベガス屈指のレストラン郡を誇っており、グルメ族にとって話題が尽きない。
 なお、このホテルには一般のバフェィは存在しないが、日曜日だけ ZEFFIRINO が高級シャンペンブランチバフェィをオファーしている。
 一方、消えてゆく店も多く、前衛的なインテリアで話題を集めていたフレンチの LUTECE、和食と中華とタイ料理の融合として日本人にも人気があった TSUNAMI、高級中華料理の ROYAL STAR は、2007年初頭に姿を消している。

 さてレンタカー族にとって気になる駐車場の使い勝手だが、これだけの規模のホテルとしてはまずまず使いやすい設計といってよいだろう。頻繁に使うであろうセルフパーキング施設からは、3階にある渡廊下を使ってホテル棟に入ればすぐに客室へ通じるエレベーターへアクセスできる。混雑しているカジノ内を通過することなく駐車場から客室へ直接アクセスできるようになっているホテルは非常に少なく、この設計は大変ありがたい。

 最後に、このホテルの名称 "VENETIAN" の発音について。タクシーの運転手などに日本語読みの "ベネチアン" と言っても絶対に通じない。本家本元のイタリアでの発音がどうであれ、アメリカ人はこれを "ヴィニーシャン" と発音している。アクセントは "ニ" の部分に思いっきり置く。ラスベガス大全では、読者がタクシー利用などの際に困らないよう、なるべく当地の発音に近い表記に心がけているが、見出しを "ヴィニーシャン" にしてしまうと、"ベネチアン" を探している読者が同じホテルであることに気付かず情報を探し出せないという弊害が生じてしまうため、とりあえずここでは妥協の産物的な "ベネシアン" で表記を統一することにした。
("ベネシアン" ならば "ベネチアン" に比べ通じる可能性がぐんと高くなることは実験済)

■ ベネシアンの前身であるサンズホテルについて ■

 サンズホテルのオーナーでもあり現ベネシアンのオーナーでもある Sheldon Adelson 氏は、かつてラスベガス最大の産業見本市であった "COMDEX" の創設者でもある。雑誌フォーブスによると、その COMDEX を Adelson 氏が日本のソフトバンク社に約8億ドルで売却した際、約5億ドルの売却益を得ており、その売却益がベネシアンの建設資金に充てられたという。

 参考までにこれまでのサンズの歴史を説明すると、旧サンズホテルは 1952年テキサスの富豪によって建てられた。その後いろいろな者の手に渡り、一時期はあの大富豪ハワードヒューズ氏が所有していたこともあった。
 そんな歴史を持つ伝統のサンズだが、規模が小さかったためか日本人には比較的なじみが薄いようだ。
 サンズはフラミンゴ、デザートインなどと並ぶラスベガス屈指の 「古豪」 ホテルで、爆破解体直前まで使用されていたナイトショーの会場 「COPA ROOM」 などは特に有名だった。あの 「RAT PACK」 と呼ばれたフランクシナトラ、サミーデービス Jr、ディーンマーチンらの競演ショーが長い間ここで行われていたことは知る人ぞ知る有名な話だ。
 それほどの伝統を持つがゆえに、爆破解体が決定した際には消滅を惜しむ声が非常に多く、「サンズ保存説」 すら飛び出したほどだったが、もちろんあえなく爆破解体されてしまい今日のベネシアンが誕生した。過去の伝統をあえて切り捨てても、新たな時代を切り開こうとするラスベガスのダイナミズムを感じずにはいられない。


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