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TI (トレジャーアイランド)




英語名   TI (TREASURE ISLAND)
住所   3300 LAS VEGAS BOULEVARD LAS VEGAS, NV 89109
電話  702-894-7111 総客室数  2900
フリーダイヤル  1-800-944-7444 スイートルーム  212
FAX  702-894-7414 レギュラールーム  $55〜$220
外貨交換  あり スイートルーム  $100〜$300
総合評価  

 1993年の開業以来、このホテルは、その前庭で演じられる派手なライブショー 「海賊船の戦い」 で注目を浴びてきたが、開業十年目の 2003年を境にこのショーを大幅に変更するなど、すべての部分において方向転換を図ってきている。

 最も顕著な変更は名称だ。"Treasure Island" を、イニシャルだけの "TI" に変えた (ただし、しばらくは混乱を避けるために旧名称も併記される)。
 また、これまでこのホテルのテーマだった 「海賊」 や 「宝島」 といったたぐいのコンセプトもすべて消し去り、それにともない名物のドクロの巨大看板 (写真右) も取り壊わされた。さらにホテル自体の外壁の色も、これまでのサーモンピンクからブラウンに塗り替えられ、まったく新しいイメージ造りにまい進している。
 そして人気の海賊船ショーも、今はセクシーな美女たちが登場する "The Sirens of TI" というアトラクションに生まれ変わり、新生 TI の看板アトラクションとして定着してきた。( The Sirens of TI に関する詳しい情報は [観光スポット] セクションを参照のこと)

 これらの変化が意味するものは何か。それは、同ホテルにとっては "過去の一掃" であると同時に、ラスベガスにとっては "テーマホテルブームの終焉" を意味しており、今後のこの街の行方を占う上で重要な意味を持つ。
 簡単に言ってしまえば、「トレジャーアイランド」、つまり宝島とか海賊といったコンセプトはテーマパーク的な響きがあり、子連れファミリー族にはうけても、一般客にはゴージャス感に欠けるのか人気が今ひとつで、結果的に方向転換を余儀なくされた、ということだ。
 もちろん大人にとってもテーマパーク的な響きがあるホテルは興味が尽きないところで、一度は泊まってみたいと考えるものだが、それでも一度見てしまえばそれ以上の魅力はなく、再度泊まりたいと考える者は少ない。つまりテーマホテルはリピーター客をつかみにくいというわけだ。
 また、テーマを持っていると、あらゆる経営戦略はそれに束縛されてしまいがちで、テーマと無関係な新たな展開を図らなければならない場合、それが障害となりやすい。そういった部分の反省から 「脱テーマ」 が最近のラスベガスにおけるホテル経営のトレンドとなっている。
 特にトレジャーアイランドの場合、他の多くのホテルがエジプト、パリ、ローマ、ニューヨークなど、国や都市をテーマとしているのに対して、"宝島" という極めて特種な対象物をテーマとしてきたため、それによる束縛という弊害は他のホテルよりも大きかったようで、それが今回の方針転換につながったようだ。たしかに、館内の家具や装飾品を "エジプト調" にするよりも "宝島調" にする方が選択肢が狭く、何かと不便を強いられることは想像に難くない。
 さらにそのテーマから来るイメージがおとな向けではなかったこともマイナス要因となっていたようで、子連れファミリー族にはウケても、カジノ収益を支える高額ギャンブラーからはそっぽを向かれる傾向にあったようだ。
 日本の事情をよく知るホテル業界の者が、今回の方針変更の背景を以下のように語っていたのは興味深い。
 「日本のラブホテルにおいて、テーマを持つ部屋に泊まりたいと思う者はいくらでもいるが、同じテーマの部屋に何度も泊まりたいと思う者はいないはずだ。リピーター客ほどテーマがない部屋を好むものだ」

 では、トレジャーアイランドの生みの親であるホテル王・Steve Wynn 氏のアイデアは間違っていたのだろうか。それはそうでもないようだ。90年代初頭の開業当時はテーマホテルがまだ珍しかったため、テーマを持つことがトレジャーアイランドの業績に大きく寄与したことは疑う余地がなく、多くの関係者は Wynn 氏を高く評価している。つまり、テーマを持つことは短期的な戦略としては誤りではなかったが、長期的にはマイナス面も出て来やすい、ということのようだ。

 さて、過去の一掃が目的であるならば、まったく別の名称にすべきだったようにも思えるが、そうでもないらしい。そのへんについては同ホテルの社長 Scott Sibella 氏が地元メディアで次のように語っている。
 「まったく新しい名称にすると "元トレジャーアイランドの○×ホテル..." と呼ばれることになり、何かと不便。TI ならば特に変更を意識してもらう必要はなく、不便も混乱も生じない。また、まったく新しい名称はこれまでに築いたソフト的資産の良い部分を切り捨てることにもなりかねず、好ましいことではない。そして今回の名称変更の最大の目的は、単語として意味を持たない名称にすることであり、その点において TI は最高の選択」 とのこと。
 とにかく今回の変更は、"テーマをなくすことがテーマ" で、ホテル名から何かをイメージさせるような名称にはしたくなかったということのようだ。

 以上の理由から、現在このホテルからテーマは消えた。子供や初ベガス族にとっては興味が減ってしまった感もあるが、少なくともリピーター客にとっては、トータル的なイメージとして "格上ホテルになった" と感じることだろう。そのアップグレード感こそ、まさに経営陣がねらっているところで、今後さらにおとな向けのゴージャス感を出すための改良が加えられていきそうだ。とりあえず現時点では、となりに存在する同系列のミラージよりは格下で、競合のパリス、プラネットハリウッド、モンテカルロなどと同等かやや上、といった感じの位置付けでマーケティングされていくものと思われる。

 なお、海賊船ショーが消えたといっても、それと同等なアトラクション The Sirens of TI は健在で、その規模やカネのかけ方を考えると、ラスベガスビジネスの神髄と、この街に潜在するパワーを感じずにはいられない。このアトラクションは、「ラスベガスにおいて客を集めるためにはカネをかけなければダメだ」 ということを如実に物語る典型で、そういった部分は開業当時となんら変わっていない。集客効果を考えれば十分に採算が取れているのかもしれないが、いずれにせよ、無料で毎晩あそこまで派手に演じてしまうことはとにかく絶賛に値する。

 さて、このホテルを宿泊対象と検討している者へのインフォメーションだが、ショッピング族にはかなりおすすめだ。すぐ隣がラスベガス最大のショッピングセンター Fashion Show Mall、向かい側のベネシアンホテルの2階が Grand Canal Shoppes、そして南側には Forum Shops がある。どれも徒歩の距離だ。

 ここのプールは非常にきれいにまとまっているが、スペースのわりに高いヤシの木が多く、また高層のホテル本館がかなり間近に迫っているため頭上に圧迫感のようなものを感じる。さらにプールのすぐ脇の上方にはミラージ行きのモノレールの軌道が走っており、頻繁に往来するモノレールなどで何かと頭上は騒々しい。それでもインペリアルパレス、ハラス、リビエラなどの 「ビルの谷間」 的なプールとは違い、南側が完全にオープンになっているので陽当たりは良好だ。またゴージャスさという意味においてもそれらのプールとは比較にならないほど上をいっている。

 あと見えないところで評価したい点としてはトイレと駐車場だ。カジノフロアのトイレのそれぞれの個室には立派な絵画が飾ってあり、見えないところにも金をかけていることがうかがえる。もっとも、用を足している間はそれらの絵に背を向けているわけで観賞することはできず、無駄な経費を使っているだけのような気がしないでもない。
 駐車場は照明が十分明るいだけでなく深夜でも軽音楽が流れており、これは素直に高く評価したい。たかが音楽といえどもこれがかなり深夜の物騒な雰囲気や緊張感をやわらげてくれる。また自動車泥棒などの犯罪者心理に与える抑止効果もあるときく。ラスベガスに限らず深夜における駐車場というものはいつも緊張するものだ。ぜひ他の駐車場もこれを見習ってもらいたい。

 The Sirens of TI の上演スケジュールは季節によって多少異なるが、歩道上につるしてある表示板を見ればすぐにわかる。基本的には 1時間半もしくは 2時間に 1回のペースで行われているが、風が強い日はすぐに中止となるので注意が必要だ。風に弱い 「帆船」 と 「火」 がショーの主役となっていることを考えるとそれもやむを得ないのかもしれない。

 最後にこのホテルの外観の特徴を紹介しておこう。現地へ行ったら窓枠のデザインに注目してもらいたい。ホテルの外から見た個々の窓枠は、客室 4部屋でひとつを占有するカタチでデザイン配置されている。ちなみにこの手法はベラージオでも採用されているが、見かけ上の窓の数が少なくなるので (部屋数の 4分の 1になる) 全体として落ち着いたイメージに見えるという効果がある。その反面、実際よりも部屋数が少なく見え小さなホテルと思われてしまうという欠点もある。たしかにこのトレジャーアイランドを外から見る限り、2900部屋もある巨大ホテルにはとても見えない。ちなみに Wynn Las Vegas の外壁に描かれている横のラインも 1階分ではなく2階分で、同様なことが言える。


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