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バリーズ




寸評
 1980年代までは世界最大のホテルとしてストリップ地区の一等地に君臨。古豪ホテルの多くが存在感を失いつつあるなか、このホテルだけは今でも場所的にもサイズ的にも一定の人気を保っている。
 開業は 1973年、客室数は 約2,800Caesars 社の系列。
 部屋が総じて広く、立地条件も抜群だが、古いホテルなので老朽化している部分も散見される。それでも内装などは定期的にリニューアルされているので、特に気にするほどのものでもない。
 モノレールの駅が隣接しており、コンベンションセンターへ行く必要があるビジネス族などにとっては便利。
 シーザーズ社の系列なので、シーザーズパレス、パリス、フラミンゴ、プラネットハリウッドなどと同じグループのホテルということになり、特にパリスホテルとは館内通路でシームレスにつながっているばかりか、カジノ当局になどに対する登録も、同一のアカウントで処理されているので、同じホテルに泊まっている感覚で両ホテルを利用できる。
 かつては世界最大のホテルとして抜群の存在感があったが、近年はテーマホテルのような強烈な個性がないためか、印象的にも知名度的にもあまり目立たない存在になりつつあり、初ベガスの観光客にとっては「泊まってみたい」という魅力に欠けるかもしれない。
 それでも、立地条件を第一に考えるリピーターなどからの評価は常に高く、そういう意味では "プロ好みするホテル" といってよいのかもしれない。

沿革
 映画会社の MGM 社(Metro-Goldwyn-Mayer Studios)などを所有する著名投資家 Kirk Kerkorian 氏が 1973年12月に開業。そのときのこのホテルの名称は MGM Grand だった。
 その後 1986年に、スロットマシンなど遊技機製造の大手 Bally Manufacturing 社がこのホテルを買い取ったことを機会に、ホテル名は Bally's に。
 その後もオーナーシップは買収や吸収合併などを繰り返し、Hilton 社、Harrahs 社、Caesars 社など転々としたが、ホテル名だけは変わること無く、Bally's のままで現在に至っている。
 なお、1980年11月、このホテルは、レストランの厨房設備の電気系統の故障を原因とする火災により、85人が死亡するという米国ホテル火災史上最大級の大惨事に見舞われてしまった。火災警報装置や消火用のスプリンクラー設備などが不十分だったことにより、被害を大きくしてしまったとされ、この惨事を教訓に、全米規模で宿泊施設の防災設備に関する規則が見直されることになった。

良いところ
 なんといっても立地条件がよいことに尽きる。ラスベガスのホテル街の中心地とされる通称「フォーコーナーズ」、つまりストリップ大通りとフラミンゴ通りの交差点に面しており、ストリップ地区のほとんどの場所に徒歩で行くことが可能。
 ベラージオやシーザーズパレスもこのフォーコーナーズに面しているが、その両ホテルは前庭が広大なため、ストリップ大通りへのアクセスは必ずしも良くない。このバリーズにも前庭が存在しているが、ややサイズが小さいのと、商店街になっているため、歩く距離的にも気分的にもベラージオやシーザーズパレスほどは負担にならないし退屈しない。(ベラージオの前庭には噴水ショーがあるので退屈しないようにも思えるが、演出の時間が決まっており、常に見られるわけではない)
 ちなみにその商店街とは、2015年にオープンした、トルコのイスタンブールのグランドバザールを模したショッピングエリアのことで、ラーメン店を含む各種飲食店や小売店が軒を並べている。
 客室内が広いこともこのホテルの特徴だ。スタンダードルームでも 42平方メートルを超える床面積は、ライバルホテルの2割増し程度はあり(ただしベネチアンやパラッツォは全室スイートを謳っているのでもっと広い)、スーツケースを床に広げっぱなしでも、足場がなくなるようなことはない。
 カジノフロアが単純な長方形になっているところも、位置関係がわかりやすく、迷子になったりしにくく使いやすい。
 モノレールの駅があることもメリットと考えてよいだろう。また、一般の日本人観光客の中でどれほどの需要があるのかわからないが、ラスベガス屈指のテニスコート施設があることも付け加えておきたい。

悪いところ
 開業が 1973年ということもあり、1990年代の巨大テーマホテルの建設ラッシュブーム以降にオープンした近隣のホテルと比べると、どうしても古っぽく見えてしまいがち。定期的にリニューアルしているとはいえ、老朽化している部分が散見されることもある。
 また、決して貧弱ではないが、プール施設は平凡。開業当時の時代は、どこのホテルにおいても、メインのビジネスモデルはあくまでもカジノ。プールは「ギャンブラーの息抜きの場」といった程度の発想で造られた時代だ。一方、テーマホテルブーム以降は、ホテルライフそのものを楽しみにやって来るノンギャンブラー客が増えてきたため、「豪華なプール施設は当たり前」といった流れになってきており、テーマホテルのプールと比べると、見劣り感は否めないが、時代背景を考えると、やむを得ないといったところか。それでも日本のホテルと比べると十分すぎるほど立派なプールなので、このプールを理由に宿泊をあきらめる必要はないだろう。
 また、特にこれといったアトラクションがないところも、このホテルのマイナス点かもしれない。

雑情報
 前述の、前庭にあるトルコのイスタンブールのグランドバザール
を模したショッピングエリア内に、サンフランシスコの中心地「ユニオンスクエア」の近くで定評の人気ラーメン店 Katana-YA(刀屋)が、その名も単純明快な Ramen-Ya という名前で店を出しているので、日本の味に恋しくなったときは足を運んでみるとよいだろう。ちなみにラーメン以外にも、どんぶり系のメニューや、カレー、ノリ巻きなどもある。
 ラスベガスで最大級のスターバックスも、Ramen-Ya の 20メートルほど奥にあるので覚えておくと便利だ。

 現在このホテルは、シーザーズパレス、パリス、プラネットハリウッド、フラミンゴ、ハラーズ、リンク、クロムウェル、リオと同じ Caesars 社系列のホテルとして運営されており、ストリップ地区においては、MGM 社に次ぐ巨大勢力を誇っている。
 そしてこれらのホテルでは、共通のポイントカード(航空会社のマイレージカードのようなもの) TOTAL REWARDS CARD を発行している。
 このカードは、上記のどこのホテルでも無料で簡単に取得でき(カジノ内などにある TOTAL REWARDS CARD カウンター に出向き、パスポートなど身分証明となるものを提示するだけ)、宿泊や食事、さらにはカジノでのプレー実績などに応じてポイントが貯まる仕組みになっているが、上級メンバーなど特例を除き原則として、6ヶ月間まったく利用がなかったりすると、ステータス・レベルや貯まったポイントがリセットされてしまうので、日本からの一般の観光客にとっては、わざわざカードを作る意味はないと思われる。
 ただし、各ホテルの館内にあるレストランなどにおいて、カードを提示すると割引があったりする場合もあり、必ずしもカードを作ることに意味がないわけではないが、割引で得られる金額と、カードを作る手間とのバランス感覚は必要だろう。

グレード ★★★★
 このホテルは、1990年代のテーマホテルの建設ラッシュでライバルホテルが続々と現れるまでは、世界最大のホテルであると同時に最高級グレードのホテルとして、このラスベガス・ストリップに君臨していたので、そういった背景を考えると、このホテルのグレードを星3つなどと低く評価することには違和感があり、現在においても高級ホテルと位置づけるのが妥当と思われる。

立地条件 ★★★★★
 すでに述べてきたとおり、ラスベガスで最も中心に位置する交差点に面している。館内通路でつながっているパリスホテルはもちろんのこと、噴水ショーで人気のベラージオ、プラネットハリウッド、コスモポリタン、シーザーズパレス、フラミンゴなどの各ホテルへは徒歩ですぐの距離。立地条件によるマイナス要素は特に見当たらない。

バス停の位置 ★★★★
 南北に長いストリップ大通りの移動に欠かせないのが公営バス。(運賃は、発行時刻から2時間有効な乗車券が6ドル、24時間有効券が8ドル、72時間有効券が20ドル。バス停にある自販機で購入可能)
 すべてのバス停に停車する2階建てのバス DEUCE と、主要のバス停にしか停車しない急行の2連結バス SDX の2系統があるわけだが、DEUCE は停車回数が多すぎ利便性が悪いので、交通手段ではなく、むしろストリップ地区の景色を眺めるための遊覧的な乗り物と考えるべきだろう。
 結局、多くの場合、SDX を使うことになるわけだが、北行きの路線に関しては、幸いにも、DEUCE のみならず SDX が停車するバス停がパリスホテルの前の歩道にあるので、何ら不便を感じないはずだ。
 南行き路線に関しては、SDX が停車するバス停はベラージオホテルの南端側(コスモポリタンホテル寄り)の交差点の近くにある。徒歩で十分に行ける距離なので、こちらも特に大きな問題はないだろう。
 ちなみに、人気のショッピングスポット「Premium Outlets North」へは、北行き路線の SDX で、猛暑の夏に人気の室内アウトレット「Premium Outlets South」へは南行の SDX で行くことが可能。
(DEUCE、SDX は、それぞれの路線に付けられた愛称。そのバス停に SDX も停車するのか、それとも DEUCE だけしか停車しないのかは、バス停に立っている小さな看板を見れば、それぞれのロゴマークが描かれているのでわかるようになっている。多くのバス停には DEUCE のマークしか描かれていない)

ショッピングの利便性 ★★★★
 「フォーラムショップス」、「ファッションショーモール」、「グランドキャナルショップス」などの大型ショッピングモールはストリップ地区の北寄りに位置しているため、「フォーラムショップス」以外はやや離れているが、徒歩で行けない距離ではない。
 バリーズよりも南に位置する、プラネットハリウッドに隣接の「ミラクルマイル」は目と鼻の先。アリアに隣接の超高級店ばかりが集まった「クリスタルズ」も徒歩圏内。超高級店といえば、ベラージオホテルのショッピングプロムナードも交差点を渡るだけだ。
 みやげ物を買う際のショップとして日本人観光客から絶大なる支持を集めている ABC Stores(ハワイで多店舗展開をしているコンビニスタイルのギフトショップ)は、ミラクルマイル内にある。
 また、飲み物など、滞在中に必要な雑貨類の購入に関しては、バリーズの敷地内ともいえるストリップの歩道に CVS(全米規模の大型ドラッグストアのチェーン店)があるので何ら不便を感じない。(館内にある小さなコンビニはべらぼうに高い)
 というわけで、このバリーズは、「ファッションショーモール」、「グランドキャナルショップス」だけはやや距離があるものの、その他のショッピングスポットに対しては非常に利便性が高いホテルといってよいだろう。

レストラン ★★★☆☆
 比較的古いホテルということが関係しているのかどうかわからないが、このホテルには、いわゆるカリスマシェフといわれるような著名料理人が監修する店はない。
 モノレールの駅に通じる通路沿いに、ファーストフード店が点在しているが、それもあまりパッとしていない。フードコートもないに等しい。
 とはいえ、このホテルは立地が良く、近隣のホテルへ簡単に行けるので、他のホテルの店へ行けば何ら困ることはないはずだ。
 というわけで、このホテル自体は飲食に関して充実しているとは言い難いが、唯一注目すべき店がある。それはラスベガスで一番ゴージャスなバフェイ「Sterling Brunch」だ。(バフェイとは、日本でいうところの食べ放題のバイキング。発音がむずかしく、「ビュッフェ」や「バフェ」と言っても通じない。うしろの「ェイ」のところにアクセントを置いて「バフェイ」と発音する必要がある。ちなみに「バイキング」は北欧地域の海賊のことなので論外)
 この店は 20年以上も続く知る人ぞ知る超高級バフェイで、カニ、カキ、エビなどはもちろんのこと、ロブスターからキャビアまで、想像できる範囲の高級食材のほとんどを食べることができる。高級ワインやシャンパンも込みだ。非常に人気であるばかりかダイニングルームが決して広くないので、予約なしでは入れないことが多い。消費税(8% ちょっと)やチップ(15〜20%)を入れると 1人 100ドルを軽く超えてしまうが、それなりの価値はある店なので、興味がある者は行ってみるとよいだろう。

ハネムーン ★★★☆☆
 ハネムーンのカップルがこのホテルを利用して後悔するようなことはないが、あまりおすすめはできない。理由は、このホテルに宿泊するぐらいなら、館内通路でつながっているパリスホテルのほうが、ほぼ同じ料金で宿泊できて、オシャレ感もあるからだ。
 料金的にもっと奮発してもいいということであれば、道路を挟んだ向かい側にあるベラージオやコスモポリタンも検討してみるべきだろう。とにかく新婚カップルがあえてこのバリーズに泊まる理由は見い出せない。

レンタカー利用者 ★★★☆☆
 レンタカー利用者にとって、このホテルの駐車場は、可もなく不可もなくといったところか。ちなみに駐車場は、パリスホテルと共用で、駐車場から館内に通じる通路も、両ホテルのほぼ中央付近につながっている。
 駐車場そのものの構造は使いにくくはないが、ストリップ大通りに対して東側に位置しているホテルということもあり、 郊外へ出かける際に利用することになる高速15号線へのアクセスにおいては、必ずストリップを渡らなければならず(15号線はストリップの西側にある)、ラッシュ時などは車の出し入れに時間がかかってしまう可能性がある。ちなみに午後3時ごろから深夜までがラッシュ時。
 レンタカーを利用することが確実で、宿泊料金的に同じグレードのホテルを探したいということであれば、PARK MGM、トレジャーアイランド、ミラージュなどがおすすめだ。

子連れファミリー ☆☆☆☆
 1990年代から 2000年の初頭ごろまでは、子連れファミリー族を街に呼び込むために、子供向けのアトラクションやゲームセンターなどに力を入れていたラスベガスの各ホテルだが、現在は「子連れファミリー族はお金を落としてくれない」ということがわかり、ナイトクラブ族、コンベンション族、グルメ族などの誘致に方向転換。
 結果的に、子連れファミリー族の来場を想定してマーケティングしている主要ホテルはサーカスサーカスエクスカリバーぐらいになってしまい、どこのホテルも子供向けの施設を作る気などまったく無く、子供にとっては楽しくない街になってしまっている。
 残念ながらこのホテルも例外ではなく、子連れファミリーにはおすすめできない。やはり子供の気持ちを優先するのであれば、サーカスサーカスかエクスカリバーに泊まるべきだろう。


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