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運命を決める RNG |
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以下のような質問をよく受ける。
「コインを1枚入れたときよりも 3枚入れたときの方が絵がそろう確率は高いのか?」、「先にまとまったお金をマシンに投入し、クレジット残高から減らしていくやり方よりも、1回1回コインを投入した方が有利というウワサもあるが、それは本当か?」、「ボタンを押すのとレバーを引くのでは、どっちが有利なのか?」

これらの質問に対する答はすべて、「それらのちがいは的中確率にまったく関係ない」 ということになる。
なぜなら、それら各要因とはまったく無関係に独立して存在する RNG (Random Number Generator) と呼ばれる乱数発生装置が各図柄の出現を制御しているからである。
つまり的中するかしないかは、すべてがこの RNG が発信する乱数で決まってしまい、それ以上の要因もそれ以下の要因も存在し得ない。このことはネバダ州当局の規則によりきちんと定められており、この RNG に関する設計や管理は非常に厳格だ。ちなみに、不完全なサイトだが、その当局の規則は http://gaming.state.nv.us である程度見ることができる。
各スロットマシンは、マシンに向かって左側のリールから順番に止まるように設計されているだけで、どの図柄で止まるかは 1回ごとに RNG が完全にランダムに決めている。このことから次のような質問の答も自動的に見えてくる。
「ジャックポットや大当たりが出た直後のマシンはしばらく当たりが出にくいのか?」
答はもちろんノーだ。正解は、ジャックポットが出た直後であろうが、過去1万回ジャックポットが出ていない状況であろうが、RNG および後述するチャートに変更を加えない限り、次にジャックポットが出る確率は常に同じである、ということになる。
これは、コインを投げてウラが連続5回出たからといって次にオモテが出やすいわけではないことと同じだ。オモテとウラが出る確率はそれぞれ常に 50% で、直前の事象の結果に影響されるものではない。
次にこんな話もある。Aさんはガッカリしながら次のように語った。
「私が1時間も遊んでいた台を離れた直後に、別の人がその台でジャックポットを出してしまった。あと5分でも長くやっていたら、私が 100万ドルもらっていたのに...」
このAさんの理論は正しいかどうか? これも 「ノー」 だ。RNG は、その将来の結果を自ら事前に確定してしまうような設計にはなっていないからだ。これをわかりやすく説明するならば、Aさんが台を離れてすぐに (たとえば Aさんが台を離れて 5回目のプレーで) 別の人がジャックポットを出したわけだが、Aさんが台を立ち去った際、その時点で 5回あとの将来の結果が決っていたわけではない、ということである。つまり、もし Aさんがそのままやり続けていたら別の結果になっていた、ということだ。
この部分を理解できない者は、たとえばスロットマシンというゲームを、"10個のサイコロを同時に投げて、そのすべてが 1の目だった場合をジャックポットとする" というゲームに置き換えて考えてみるとわかりやすい。つまり、Aさんがそのゲームをやめた直後に、別の者がサイコロを投げて "全部 1の目" を出したからといって、Aさんが投げ続けていても同じ結果にはならないはずだ。これならだれにでも感覚的に理解できるだろう。他人のサイコロの目の結果を見て、「オレもやっていれば、その目を出せたのに」 と思う者はいないはずだ。スロットマシンもまったく同じ理論で、別の人がプレーすれば必ずタイミングがずれるので別の結果になる。ここで言うタイミングとは、このあとで述べるが、1/1000 秒レベルの極めて瞬間的なものだ。
実際の RNG の働きをもう少し具体的に説明してみよう。ここ数年の RNG は、「3つのリールに対してそれぞれ 3つのランダムな数字を選び出し、それら各数字を定数で割り、その余りの数値を各リールの図柄に割り当てる」 という方式を主に採用している。特に Megabuck などでおなじみの IGT社系のマシンではこれが主流になりつつある。
そのランダムの数字とは、[ 2の 32乗 マイナス 1]、すなわち十進法表記で 4,294,967,295 までの任意の数字、つまり最小値 1、最大値 4,294,967,295 の間のどれかの数字、ということになる。
それを 3つ選び出すわけで、具体的には、1,234,567,890、 3,444,555,666、 4,294,967,294 などといった 3つが選び出され、その次に、それぞれの数字を 64 もしくは 128 もしくは 256 (どれを採用するかは機種ごとに決められている。Megabucks などでは 512 と言われている) といった定数で割る。そしてその余りを求める。つまり、割る時の定数が 64 の場合、余りは 0 〜 63 の 64種類ということになり、その 64種類に対して図柄を割り当てる。たとえば以下がその例だ。
| 余り | 図柄 | 余り | 図柄 | 余り | 図柄 | 余り | 図柄 |
| 0 | チェリー | 16 | メロン |
32 | ブランク | 48 | メロン |
| 1 | ブランク | 17 | ブランク |
33 | 7 | 49 | チェリー |
| 2 | メロン | 18 | チェリー |
34 | BAR | 50 | ブランク |
| 3 | チェリー | 19 | メロン |
35 | ブランク | 51 | BAR |
| 4 | 7 | 20 | ブランク |
36 | ブランク | 52 | メロン |
| 5 | ブランク | 21 | ブランク |
37 | メロン | 53 | ブランク |
| 6 | ブランク | 22 | 7 |
38 | ブランク | 54 | チェリー |
| 7 | ブランク | 23 | ブランク |
39 | ブランク | 55 | 7 |
| 8 | BAR | 24 | チェリー |
40 | メロン | 56 | ブランク |
| 9 | チェリー | 25 | 7 |
41 | チェリー | 57 | チェリー |
| 10 | メロン | 26 | ブランク |
42 | JACKPOT | 58 | メロン |
| 11 | BAR | 27 | チェリー |
43 | チェリー | 59 | チェリー |
| 12 | チェリー | 28 | メロン |
44 | ブランク | 60 | メロン |
| 13 | 7 | 29 | チェリー |
45 | メロン | 61 | チェリー |
| 14 | チェリー | 30 | BAR |
46 | ブランク | 62 | ブランク |
| 15 | ブランク | 31 | 7 |
47 | ブランク | 63 | オレンジ |
この例からもわかる通り、実際のマシンの各リール上に描かれた視覚上の図柄の出現率は、その回転角的に "ブランク" も "チェリー" も "JACKPOT" も同じように見えるが、RNG で選び出される実際の出現率は大きく異なっている。
たとえばこの例だと、JACKPOT は 1/64 の確率でしか出現しないのに対して、チェリーは 16/64、ブランクは 22/64 も出現する。
各3つのリールすべてにこの同じチャートを割り当てたとすると、"JACKPOT" が 3つ並ぶ確率は 1/64 の 3乗ということになり (約 26万分の1)、いかに出にくいかがわかる。
さて気になる話題のマシン Megabucks のチャートだが、メーカーの IGT社にコンタクトしても残念ながら教えてもらえなかった。ただ、多くの情報筋によると、近年 Megabucks ではこの定数を 512 に設定したとされている。仮に 512 が正しく、その 512種類の余りの数のひとつだけを "メガマーク" に割り当てていたとすると、1/512 の 3乗で、ジャックポットの出現率は約 1億 3400万分の 1 ということになるが、「第1リールと第2リールにメガマークが並びやすくし、プレーヤーを一瞬ドキッとさせるために、第1リールと第2リールにだけ 2つの番号を割り当てている」 という噂もある。その場合の出現率は、2/512 X 2/512 X 1/512 で約 3350万分の1 ということになるが、残念ながら噂の域を出ていない。
さて最後に、RNG が 3つの番号を選び出すタイミングについてだが、IGT社によると、1秒間に千回以上という高速で 3つの番号を選び出しているという。これはそのマシンに電源が入っている限り動作しており、プレーヤーが使用しているかいないかには関係なく RNG は刻々と番号を選び出している。そして、プレーヤーがコインを入れたり、スピンのボタンを押した瞬間の無作為なきっかけを利用して、その番号を決定している。
したがって、プレーするタイミングが 0.001 秒でもちがえば RNG が発する乱数、すなわちゲーム結果もちがってくるわけで、先ほどの、「自分がやめた台で、その直後に他人がジャックポットを出した」 という Aさんの例のガッカリは気持ち的には理解できるが、実際にはまったく意味が無いことになる。
タイミングに関連したこんな悲劇もある。Bさんはガッカリしながら次のように語った。
「たまたまコインを 1枚だけ投入してプレーしたらなんとジャックポットマークが 3つ並んだ。賞金はたったの 500ドル。コインを 3枚投入していれば 100万ドルが当たっていたのに...」
この Bさんの悔やみは正しいかどうか? 答は 「イエス」 でもあるし 「ノー」 でもある。なぜなら、1枚目のコインが投入された時点で RNG が乱数を確定してしまうタイプのマシンと、そうでないマシンがあるからだ。そうでないマシンとは、2枚目 3枚目とコインが投入されるたびに改めて新たな乱数を決めるタイプのマシン、もしくは最後にレバーを引く (あるいはボタンを押す) 際に乱数が決まるタイプのマシンのことである。
したがって、もし Bさんが 「そうでないタイプのマシン」 でやっていたとしたならば、コインを追加した時点で乱数も変わってしまっていたわけで、3つのジャックポットマークは出ていなかったということになる。言い換えれば、「Bさんはコインを 1枚しか投入していなかったからこそジャックポットマークが並んだ」 ということになる。
一方、もしそのマシンが 「1枚目の投入時に乱数が決まってしまうタイプのマシン」 であったならば、たしかに Bさんが言う通り 「3枚入れていれば 100万ドルだった!」 ということになる。したがってこの話は本当の悲劇かもしれないし単なる幻想かもしれない。
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