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 コンプも上を見ればキリがない!
 
 コンプには、食事代が無料になる 「フードコンプ」、宿泊費が無料になる 「ルームコンプ」、部屋代、食事代、飲み物代のすべてが無料になる 「RFBコンプ」 などがある。その他、オマケ的なコンプとして、混雑しているバフェィなどに並ばなくてもよい 「ラインパス」、チェックインやチェックアウトの際に混雑している受付窓口に並ばなくてもよい 「コンプ客専用窓口の利用」 などもある。大多数の一般のプレーヤーはそこまでが普通だ。

 しかし一般のコンプ客がそこまででも、ハイローラー (高額な賭け金で遊ぶギャンブラーのこと) になるともっとすごい。ハイローラーはホテル側にとっては神様だ。「お客様は神様です」 とはよく言ったもので、ハイローラーに対するホテル側のサービスはまさに至れり尽くせりである。
 その内容は、ナイトショーチケット (それも特等席)、ペントハウススイートルーム、食事のルームサービス、ウェルカムワイン、SPA、空港とホテル間のリムジン無料送迎、ラスベガス無料往復航空券、専用小型ジェット機を利用した自宅からそのホテルまでの送迎 ( アメリカ国内の場合。海外在住者の場合はファーストクラス航空券の進呈) など、さまざまなコンプが用意されている。ようするに上位クラスのハイローラーは、何をやっても全部タダ というわけだ。

  「全部タダ」 ということは、もうこれ以上ホテル側ができる 「金銭的サービス」 は存在し得ないということになる。しかしその上の 「超ハイローラー」 はまだ存在しているし、さらにその上の 「超々ハイローラー」 もいる。当然ホテル側は彼らを差別化したいと考えるし、彼ら自身もそれを期待したりする。つまり、ホテル側は 「感謝の印」 として彼らにそれなりの何かを示してあげなければならないというわけだ。
 そこで登場してくるのが、 「名誉欲」 をくすぐるようなコンプだ。この領域になると各ホテルそれぞれ独自の工夫を凝らしておりその内容は、キッチン付きペントハウススイートルームにシェフ数人を送り込み朝食のバフェィをその場で用意、グランドピアノ付きペントハウススイートルームにピアニストを送り込み生演奏サービス、その顧客専用のイニシャル入りカジノチップを作成しホテルにキープ、などいろいろなサービスがある。

 さらにユニークなコンプもある。某ホテルでは、その顧客の名前を彫った専用のナイフとフォークをそのホテル内の高級レストランにキープするといったコンプをオファーしている。さらにその中でもグレードの高い超々ハイローラー十数人に対してだけは、そのナイフとフォークを立派なケースに入れ、そのレストラン内の壁に飾るといった、まさに名誉欲をくすぐるようなコンプまでオファーしている。そしてそのケース内におさめられた十数人のナイフとフォークの中にもランク付けがあり、一番上におさめられている著名芸能人のナイフとフォークに近い位置ほど格が上とか差別化を図っている。

 もうここまで来ると完全に名誉欲をくすぐっているだけで、ホテル側としては大した金銭的な負担とはなっていない。つまり言い換えれば、その客にとっても金銭的な恩恵などほとんどないということになる。
 ただ人間とは不思議なもので、この領域に達すると本当に名誉欲を満たすためだけになんのためらいもなく金をつぎ込む。このレベルのハイローラーたちはみんな 1回のプレーに数千ドル以上を張り、一晩で 10万ドルや 100万ドル動かす。もちろん芸能人のナイフとフォークの横に自分の物を陳列してもらいたくてそんな大金を張っているわけでもないだろうが、とにかくどのような心理や目的でそこまでの大金を張っているのか我々一般庶民にはまったくわからない部分だ。しかしそれがわからなくても、彼らのおかげで我々一般庶民が安く食事を楽しめたり安く宿泊できたりしていることだけはたしかだろう。ハイローラー様は我々庶民にとっても神様なのである。


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