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バカラ


 紙とペンに託すロマン
 
 バカラというゲームにおいては (伝統的バカラであろうがミニバカラであろうが )、伝統的に (と言ってもミニバカラに伝統はないが) 各参加者が1回ごとの結果を紙に記録するという習慣がある。
 つまり 「直近 20回の結果」 などを参考にしながら、その後の傾向を読み、次のプレーの結果を推理しようというわけである。数学的にはそんなことをやってもまったく意味がないのだが (そんなことで勝てるようなら世界中のカジノはとっくに倒産している)、多くの人が今でも記録を付けながらプレーしている。

 したがって、バカラのテーブルに着席すると必ずディーラーが 「用紙と鉛筆はいりますか?」 ときいてくる。記録を取るぐらいしかプレー中にやることがないので、とりあえずはそれらをもらって記帳するのも悪くはないだろう。
 おそらくこの習慣は、そんなことでもやっていないと退屈してしまうほど暇なゲームだったため発生したのではないか。また逆に考えれば、そんなことをやっていられるほど時間と金に余裕のあった大富豪たちばかりが楽しんでいたゲームということも言えるのかもしれない。
  「5回連続して PLAYER が勝った場合は、次の 20回以内に必ず BANKER の7連勝がある」、「直近の 50ゲームのうちで BANKER の4連勝以上が1度もない場合は、近い将来必ず BANKER の8連勝が起こる」 などなど。過去何百年もの間、さまざまな 「必勝法」 のようなセオリーが現れては消え、その都度多くの人達が紙とペンを手にしながらそれらを実戦で試してきた。
 もちろんそれらのどれも数学的根拠はまったくなく、勝敗結果はいつも気まぐれだったことは言うまでもない。それでも多くの伝説的なセオリーが今でも語り継がれ実戦されているところに、このゲームの不思議な魅力と偉大さがある。
 そしてそれらの伝統的セオリーに混じって 「新作モノ」 も次から次へと現れては消え、「セオリーはきっとあるにちがいない」 と信じる大富豪ギャンブラーたちの探求心とロマンをかき立てているのもバカラの特徴である。
 ゲームの内容があまりにも単純であるがゆえに、ギャンブラーたちはその人知の及ばぬゲーム結果に傾向性と連続性の存在を予感し、その探求についつい夢がふくらんでしまう。 「王様のゲーム」 と呼ばれてきたバカラには、時間と金に余裕のない一般庶民にはわからない何か不思議な魅力が潜んでいるのかもしれない。


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