![]() |
| 週刊ラスベガスニュース バックナンバー 2008年 09月 17日号 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| サンドイッチ伯爵のサンドイッチがラスベガスに上陸 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プラネットハリウッドホテル内にサンドイッチ専門のファーストフード店 「Earl of Sandwich」 がこのたびオープンした。日本ではまだあまり知られていないブランドだが、その歴史やいきさつを聞けば、だれもがビックリすることだろう。話を進める前に、まずは 「サンドイッチ」 の語源について。 すでに広く知られている通り、その語源はイギリスのサンドイッチ伯爵に由来している。無類のトランプ好きだった伯爵は、ゆっくり食事を楽しむ時間がないほど朝から晩までトランプに興じることが多く、パンと料理が別々に運ばれてくることにいつもいらだちを感じていた。そこで、「トランプをしながら片手でも食べられるようなものはないか」 と思いついたのが、パンと料理を一緒にしてしまう方法で、それが今日のサンドイッチの語源になったとされている。
歴史家らによると、「そんな食べ方はもっと昔からあった」 など異論もあるようだが、その真偽はともかく、実はこの 「Earl of Sandwich」 というチェーン店、なんとそのサンドイッチ伯爵のファミリーと深く関係があるというから驚きだ。約250年前にサンドイッチを発明したその張本人のジョン・モンターギュ・サンドイッチ伯爵の直系の子孫にあたる第11代サンドイッチ伯爵 (65) やその息子(39) が近年イギリスで始めたのである。ちなみに 「Earl」 とは英語で伯爵のこと、つまりこの店の名前の意味は 「サンドイッチ伯爵」 そのもので、まさに 「名は体を表している」 ということになる。右下の写真のロゴマークの中に描かれている人物こそがそのジョン・モンターギュ・サンドイッチ伯爵だ。
第11代目とはいえ、伯爵という家系を継ぐ立場にある人物がこの種のビジネスに関与すること自体に多少の違和感を覚えるが、まさかというか、やはりというか、なんとせっかく作ったそのビジネスをアメリカに売ってしまったのである。そして驚くことに、そのブランドを買った人物の名前が偶然にも Robert Earl。知る人ぞ知るレストランチェーン 「プラネットハリウッド」 の創業者で、プラネットハリウッドホテルの事実上のオーナーでもある。もちろんこの Robert Earl 氏の 「Earl」 は単なる姓であって伯爵ではない。
そんないきさつを持つ米国企業としての Earl of Sandwich は、2004年にフロリダ州オーランドにあるディズニーワールドで第1号店をオープンすることに。そしてその後しばらく全米での拡大を模索している間に、ある投資会社がフランチャイズ展開を手伝いたいと名乗り出て、2006年にテキサス州にフランチャイズ店が誕生することになるが、その投資会社には大リーグ野球で 5714個の三振奪取記録を持つ剛速球投手ノーラン・ライアン氏や、1試合20奪三振の記録保持者ロジャークレメンス投手も出資しているとあって、業界人のみならず一般市民の間でも注目され始めた。
話が長くなってしまったが、結局この一連のストーリーを簡単にまとめると、アメリカの大富豪がたまたま自分と同じ名前の由緒ある英国ブランドに興味を示し、それを買ってしまった、ということになるわけだが、このラスベガス店は他の店舗とは異なり、アメリカ側での張本人であるその Robert Earl 氏が自分のホテル内に出店したという意味では非常に意義深く、まさに 「本丸」 といってよいだろう。本人の意気込みや思い入れの大きさはもちろんのこと、このラスベガス店は会社の将来を占う上でも最重要店であることは間違いなく、関係者ならずともその成否は大いに気になるところだ。ちなみにこれまではあまり順調ではなかったのか、まだ全米で10店舗しか存在していない。最近は 11代目サンドイッチ伯爵が自らの名前や立場を生かしたマーケティングで援護射撃するなど (アメリカ側に売却した後も宣伝活動などに協力的)、本場英国からの後方支援ムードも高まってきており、業界関係者の間ではこのラスベガス店の開業をきっかけに大ブレークするのではないかとも噂されている。
気になるサンドイッチの内容だが、文末に示したメニューの通り、ビーフ、チキン、ターキー、ハムなど、パンに挟む具と、ハニーマスタードソース、イタリアンソース、マヨネーズなどの味付け素材の組み合わせで全部で17種類がメニューボードにリストされている。どれも注文を受けてから作り始め、最後にオーブンで表面を軽く焼くので、出来立てはふんわりやわらかく仕上がっている。その表面を焼く様子は客からも見えるように演出されており(写真右上)、「あれが自分のかな。チーズが溶けすぎかも」 などと思いながら、ベルトコンベアに乗ったサンドイッチがオーブン内に入りそしてまた出てくる一連の様子を見ていると楽しい。 値段はすべて5.75ドル (子供用サイズの1種類だけ $3.95)。それぞれのサンドイッチに愛称が付けられているのでオーダーの際はその名前を告げるだけでよい。 飲み物はコーヒー、コーラ、ビールなど、なんでもひと通りそろっているが、この店のオリジナル(といってもOEM生産)のロゴ入り各種ジュースもある (写真右下)。
今回取材に応じてくれたラスベガス店のマネージャーは偶然にもオーナーと同じ Robert さん。「オーナーの息子、Robert Earl 二世だ!」 といっていたが、もちろんジョーク。彼いわく、一番の売れ筋はなんといっても 「The Original 1762」 だそうで、1762 とはもちろんサンドイッチ伯爵がサンドイッチを発明したとされる年のこと。実際に伯爵が好んだとされるそのサンドイッチはローストビーフとチェダーチーズとホースラディッシュの組み合わせ。はたして 250年前の元祖の味は現代人の味覚に合うかどうか。いにしえの出来事に思いをはせながら元祖サンドイッチを味わってみると、きっと単なる食事以上の何かを体験できるにちがいない。(味は正直いって悪くない) なお、サラダメニューもあり、こちらも数種類の選択肢があるが、片手で食べられることを理想としていた伯爵の遺志を引き継いでいるのか、皮(Bread Wrap)で巻かれた状態でサーブされる。リクエストすれば一般の店と同様、皿に盛り付けた状態で出してもらえるが、ナイフやフォークを使わずに食べるのがこの店の流儀であると同時に、サンドイッチ伯爵に対する敬意の表し方でもあるので、ここはひとつ無条件で「巻きサラダ」にしたい。営業時間は午前6時から深夜12時まで。場所はカジノフロアの南側の出入口付近。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||
バックナンバーリストへもどる![]() |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||