週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2003年 10月 08日号
Siegfried & Roy、再開のメドたたず、13年の歴史に幕
 人気マジシャンがトラに襲われ重体。そんなまさかの悲劇が、10月 3日夜、ラスベガスを代表するナイトショー "Siegfried & Roy" のステージ (ミラージホテル) で起こった。
 襲われたのは主役の二人のうちのひとり Roy Horn 氏 (写真右、左は Siegfried)。観客の前でトラ (7才) に左首を噛まれ、そのまま舞台裏まで引きずって行かれたという。

 このニュースは瞬く間に世界を駆けめぐったが、日本人観光客も多かったのか、たまたま現場に居合わせたという複数の弊誌読者からも状況報告が寄せられた。
 神奈川県から社員旅行でやって来たという山田氏によると、大多数の観客は演出の一部だと思いこみ、静かに次の幕を待っていたという。もちろん山田氏自身も例外ではなく、人形にすり替えてのマジック、つまりトラに噛みつかれたのは人形だと思って疑わなかったとのこと。
 しばらくしてからステージに現れた Siegfried が公演の緊急中止を告げると、一部の女性客が泣き崩れるなど会場は一時騒然となりかけたが、生命にかかわるほどの負傷とは知らない大多数の観客はチケットの払い戻し手続きなどに関心を示すなど、大きな混乱はなかったという。

 さて、事故当時の様子の話題はこのへんにして、早くも多くの読者から Horn 氏の容態、このショーの今後について、手配済みのチケットの払い戻し方法、The Secret Garden の営業など、さまざまな質問が寄せられているので、それら質問に答えていきたい。

 まず最も気になる Horn 氏の容態だが、残念ながら重体のようだ。病院側があまり詳しい情報を流していないため推測の域を出ていないが、出血多量によるダメージが大きく、危険な状態にあるというのが大方の見方だ。
 ミラージホテル前の歩道には、そんな氏の回復を祈るファンから多数の花束が寄せられ (写真左上、クリックで拡大表示)、そこで足を止め、涙ぐむ者も少なくない。

 次にこのショーについてだが、代役を見つけての公演継続も検討されていたようだが、6日に打ち切りが正式発表されてしまった。Horn 氏の容態を考えると、残念ではあるが、妥当かつ現実的な判断といえるだろう。ちなみに広告塔などには、まだこれまで通りの状態で明かりが灯っている (写真右。7日夜撮影)
 チケットの払い戻しは、ミラージホテル内のボックスオフィスで当分の間 8:30am から 9:00pm まで受け付けるとのことだが、時間帯については今後変わる可能性があるという。

 ナイトショーに出演する動物などを一般公開している動物園 "The Secret Garden" に関する問い合わせも多い。現場取材したところ、こちらは平常通りオープンしていた。現場スタッフによると、閉鎖の話は出ていないという。だが、Horn 氏が動物の飼育に深く関わっていたことを考えると、動物園の今後も不透明と考えるのが妥当だろう。
 その動物園とは別に、同ホテルの南東側の入口付近にもホワイトタイガーを見学できる施設 (写真左。7日夜撮影) があるが、こちらも 7日現在平常通り公開されており、ガラス越しにホワイトタイガーを見ることができる。ちなみに広報部もコンシアージも、「現時点では閉鎖を考えていない」 としている。なお、現在そこで見ることができるトラは、今回の事件の "当事者" とは別のトラだ。

 気になる当事者のトラだが、現在当局によって隔離されている。が、危険だからという理由ではないようだ。地元テレビ局などの報道によると、人間に危害を加えた動物は、狂犬病などのような病気を持っていないかチェックするルールになっており、その規則に基づき 10日間隔離されるだけで、その後は持ち主に戻されるという。ちなみにネバダ州では、どう猛な動物の管理に関する規則は特になく、ステージでのトラの扱いなどは現場の判断に任されているとのこと。
 そう聞くと誰もが気になるのは、同様な動物を使う他のショーの動向だろう。トラを使うことで知られるトロピカーナホテルのマジックショー "Rick Thomas" と、トラやヒョウを使うプラザホテルでのマジックショー "Dirk Arthur" のチケットオフィスにそれぞれ電話取材してみたところ、どちらからも 「平常通り」 との返事が返ってきた。
 今回の事故を機に、何らかのルールを設けるべきだとの声もあがってきているが、この 2つのショーに関しては、どうやらこのまま今まで通りの公演が続きそうだ。

 最後に、Roy Horn 氏はこの日がちょうど 59才の誕生日で、前日には地元のセレブを集めてのバースデーパーティーも行なわれたという。そのことを取り上げた観光情報誌の表紙には彼の顔写真が大きく掲載され、またその裏面はこのショーの全面広告だ (写真右)。なんとも痛ましい。
 13年間続いてきたショー自体は、今回の 5750回目の公演をもって姿を消すことが決まってしまったが、ステージ復帰はなくとも、Horn 氏の一日も早い回復を祈りたい。


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